日本 – ベルギー

ファインゴール2発で先行するも、ベルギーの反撃を許し逆転負けの2-3。優勝候補相手に勝てる可能性を感じさせる展開で、負けた試合ではあるが、この4年間の日本代表のベストマッチ。

後半早々、柴崎の絶妙のスルーパスに原口が綺麗に抜け出し、しっかりとゴールを決めて先制。さらに香川とのコンビネーションから乾がゴールを決める。両シュートとも相手GKのミス等ではない、完璧なシュート。

前半も含めて手を抜いていたわけではなさそうだが、余裕を感じるプレイぶりだったベルギーの集中力がこの辺りから一段上がった。選手交代も的確に行い、フェライニで高さを補い、カラスコに変えてシャドリを投入。結果的にこの交代が完璧に当たってしまう。ルカクだけでも相当な高さだったが、さらにフェライニで空中戦は相当厳しくなっていた。

ただ同点になってから最後の最後までゴールを許さないギリギリの展開で延長突入も見えていたラス前のプレイでフリーキック、コーナーキックのチャンスがあり、日本としてはラストプレイとして前掛りになっていたところを突かれて逆転を許してしまった。

酒井、長友の両SBのマッチアップではともに優勢だったし、長友サイドは、乾、香川のコンビネーションは相当機能していた。柴崎は起点としての能力を完全に開花させている。大迫もボールを収められる場面も多く、シュートチャンスをフイにしてはいたが、受け身にならずに済む展開に出来た一つの要因となった。

今大会の日本代表はこれで終了。

監督解任からよくここまで勝ち抜けた。ただ戦術は明らかにハリルホジッチのものがベース。西野オリジナルは構築する時間がないから、その戦術を選択したこと自体は全く異論は無い。ただ、選手の調子さえ良ければハリルホジッチの戦術がここまで通じていたことはよく反省しなければならない。

今回の躍進は柴崎、乾がキーマンだったが、クラブチームでのパフォーマンスや怪我の状況、ハリルホジッチの任期中に代表に選ばれてそこで結果が出せていなかった事実を考えれば、選考を外そうとすること自体、自然な発想。チーム内マネージメントや選手選考で違いが出た可能性はあったが、逆に選考に奮起して結果が出た可能性もある。

香川、長谷部の動きも見違えていた。本大会に入って本気モードになっただけなのかもしれないが、香川の動きはかつてないほど相当チームプレイに徹していたし、長谷部は注意力散漫な感じが無くなっていた。香川、本田、長谷部が監督更迭にどれほど関わったかは疑問だが、あれだけ更迭に関わったように報道されれば、一つの奮起材料になった可能性はある。

柴崎のように中盤の深いところからパスが散らせる選手がいれば、十分にスペクタクルな展開ができるし、あの展開でこそ乾や香川が持つ日本人らしい敏捷性が活きる。これがハリルホジッチの基本戦術だった。選手選考も継続的に試合に出る環境にあった選手を選択するというポリシーは徹底していたが、選考対象になっていた選手を考えれば、選考した当時調子が悪かったり、試合に出れない選手が多すぎただけで、能力評価は適正だった。

エキセントリックな面があり、理解に苦しむところがあったかもしれないが、ハリルホジッチは適性判断能力や戦術眼は相当持っていた。それを元技術委員で、選考、更迭の責を持っていた西野監督が証明した大会だったと言えるのではないだろうか。

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