「独裁者」との交渉術

ユーゴ紛争をテーマにしている木村元彦が、ユーゴ紛争の調停役だった明石康のインタビューを纏めたもの。
交渉術とお題がついているが、明石康の調停役としての回顧録。
会話形式で進み、非常に読みやすい。書籍でも十分に読み応えがあるが、書籍にするよりも映像で取り扱った方が映像資料も多く残っているので、見応えのある番組になる気がする。

本を読み、リアルタイムでニュースを見ていた時の印象とまるで違う印象を受けることがあるが、この本はまさにそういう本。
ニュースを見ていた当時もそうだし、今でもそうだが、普段ニュースを見聞きする時にもう少し考えることが必要と思わされる。

木村元彦が様々質問しながら話が進むが、木村元彦もよく取材をしてインタビューに臨んでいることがよく分かる。ユーゴスラビアのことは様々書籍にしているので、バックグランドが十分に形成されているだろうとは推測できるが、カンボジア、スリランカの辺りの話も十分にインタビューが成り立っている。
事象を調べて、記事にし書籍に纏めるのが職業、プロである以上、当然と言えば当然なのかもしれない。しかし、取材、インタビューしている態度は冷静で何かの立場に寄った話をするわけではなく、健全な好奇心と懐疑主義を持っていると感じられる。

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